2. サービスの設計思想

「(二酸化炭素の排出、削減を)毎日見せ続けること」

これを実現するために、サービスをどうデザインするべきか。

何を見せ続けるべきだろうか。

何を見せることができるだろうか。

二酸化炭素の削減に向けてまず動き始めているのは企業である。特に大企業だ。再生エネルギーを活用した電力への切り替え、二酸化炭素排出量を減らす生産プロセスの整備、二酸化炭素を吸収し利活用する設備の開発。企業活動における二酸化炭素排出量の見える化が始まった。IR活動の中での情報開示の義務化も整備された。実測値もあれば、推計値もある。さまざまな指標がいま見える化されようとしている。

消費行動はどうだろうか。例えば、カフェでコーヒー1杯を飲んだとき、私たちはどれほど二酸化炭素を出してしまっているのだろうか。アパレルショップでTシャツを1枚買ったときはどうだろうか?今現在の私たちは、試算の試算を重ねて推計値でしか、自分の消費と二酸化炭素を結びつけることができない。コーヒー1つとっても、利用するカフェによって二酸化炭素の排出量は変わってくる。そもそも、それぞれの消費行動自体を捕捉することも難しい。

それに対して、クレジットカードの利用履歴から算出するアプローチもある。しかし、それも結局試算でしかない。そもそもクレジットカードを使った消費は、その人の全体の消費の何割なのかが分からない。クレジットカードの利用履歴から読み取れる購買の内容を読み取ることが可能なものもあれば、読み取れない履歴もある。そして、購買した製品が特定できたとして、それに伴う二酸化炭素排出量は推計値となる。残念ながら、現在の私たちの消費行動に伴って発生する二酸化炭素の排出量(削減量)の把握は、ごく一部しかできないのが現状といえる。一人ひとりを考えたとき、その人の行動のほんの数%を見える化したとして、その意義は大きいとは言えない。

毎日見せ続けるものは、可能な限りリアルなものにしたい。そして、少しづつ二酸化炭素削減量を積み上げていくデータ(一部の情報)でも意義があるものにしたい。

リアルなデータが取得可能で、積み上がっていく状況を見ることに意義があること。

それは、世界中の企業が日々、脱炭素社会実現のために稼働させている「設備」ではないか。capture.xでは、そう捉えた。

世界のどこかで毎日太陽光発電所は稼働しているし、新たな設備も建設されている。風力発電所もそうだ。電気自動車のためのEVスタンドも毎日のように増えている。そんな設備が、百、千、万と増えていく様を毎日見える化していく。そして、その設備で実際に減らした(減らすことに寄与できた)二酸化炭素の実測値を、見せていく。

カーボンニュートラルを実現するための設備が増えていくことを見るのは、嬉しい気持ちになる。遠く離れた場所にあるかもしれないが、その設備が着実に、リアルに、二酸化炭素を減らすことに成功した実測値を見ることもワクワクする。

capture.xはそれを実現したい。それが実現できるようなサービスデザインを考えたい。それがこのサービスの根源的な設計思想となっている。

ワクワクする体験

環境問題と聞くと、とかく真面目な印象となる。もちろんこの問題はシリアスであり、社会において重要課題である。ただ、日常生活で常にそうした堅い物事を考え続けることができるかと問われれば、NOとなる。capture.xは、環境問題を真面目に勉強するアプリでもなければ、それを啓蒙するものでもない。ワクワクする体験を通じて、その結果が二酸化炭素の削減に繋がっている。主従関係は逆転して捉えている。楽しい体験が主であり、二酸化炭素の削減は従である。

capture.xアプリでは、各ユーザーは自分だけのHOSHIを持つことになる。それは地球を擬似化した場所だが、そのHOSHIを楽しく育てながら、リアルな世界の二酸化炭素の削減に寄与していくこととなる。さながらこれは往年のシムシティに近い。シムシティはあくまでゲーム内の街を発展させることが目的のゲームだが、capture.xはそうではない。リアルな設備を持ち、それを増やすことでHOSHIを育てていく。そのHOSHIに設置されている設備の二酸化炭素削減への寄与量は、リアルの世界と紐づいている。

自分のHOSHIを育て、オーナー気分を味わいながら、楽しんでアプリを利用していくことの延長線上に環境問題の解決への貢献がある。ワクワクする体験を通じて、気づかない間に二酸化炭素を削減していく。そんな世界を実現していくことが、capture.xのゴールとなる

行動変容

capture.xがあったからこそ、カーボンニュートラルは3年早まった。そう形容されるサービスになることを目指している。そのために、capture.xを使うユーザーの行動変容を起こしていきたい。capture.xを通じて世界で行動変容を起こす人を1億人生み出していく。そのうねりが、カーボンニュートラルの実現を早めていくことにつながる。この脱炭素社会の実現を自分ごとに捉え、日々の生活をする人がアプリを通じて1億人に広がれば、実現を数年早めることは可能だと信じている。

行動変容といっても、大きなもの、生き方を変えるというものではなく、日常の些細な変化から始めていく予定だ。変容の幅と大きさは徐々に広げ、深めていければ良い。まず変容の始まりは、二酸化炭素のデータを毎日見ることから始まる。

capture.xが起こしたい行動変容は次の通りとなる。

  • 二酸化炭素削減量のデータを毎日見ること

  • 二酸化炭素削減量のデータを見ることで、毎日環境問題を意識すること

  • 自分と同じく毎日環境問題を意識する友人、知人を増やすこと

  • 環境問題の情報をシェア拡散すること

  • 環境問題に向けて寄付、投資を行うようになること

  • そして、二酸化炭素削減量のデータを見ることで、日常の消費行動にも変化を起こすこと

  • and more

サービスのアップデートに伴い、行動変容の項目は追加させていく計画だが、まず始めのターゲットである「毎日見ること」。これが根源的本的だが、すべてに大きな影響を及ぼす行動変容だと捉えている。

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